人間のいるところ、かならず生活がある
日本生活学会の100人

vol. 12 森下詩子氏

 

北欧と日本、実践と研究の間から見えてくる “自分ごと” の探究
森下詩子氏(東京大学大学院学際情報学府修士課程/kinologue主宰/クリーニングデイ・ジャパン事務局代表*)

インタビューアー 真鍋陸太郎(東京大学)、笠井賢紀(龍谷大学)、饗庭伸(首都大学東京)
この原稿はネット・インタビューを行った原稿をインタビューイー、インタビューアーが加筆するというやりとりを経て作成しました
*所属などはインタビュー時のものです

まずは森下さんの研究フィールドとキャリアをご紹介ください。

研究といっても、今、修士2年なので研究者と言えるのか?というレベルですが、研究のフィールドはメディア論です。2017年4月から東京大学大学院学際情報学府の水越研究室(メディア論)に所属しています。修士課程は2回目で、以前は社会学で学部のすぐ後に修士へ行きました。
ここ1年やってきて思うのは、1度目の修士課程であった社会学が自分のアカデミックなベースにあるということです。前の大学院を修了してから、ほぼずっと映画配給の仕事をしてきました。2014年からフリーランスでやっています。新卒で映画業界に入った時からのことを考えると、ずっと同じ仕事をしているようで、内容が大きく変化しています。浮き沈みの激しいこの仕事を、20年近く続けていることも奇跡的だと思います。 (さらに…)

vol. 11 初田香成氏

 

災害後の都市現象という観点から全国の闇市跡地を踏査する
初田香成(工学院大学建築学部建築デザイン学科・准教授*)

インタビューアー 笠井賢紀(龍谷大学)、饗庭伸(首都大学東京)、真鍋陸太郎(東京大学)
この原稿はネット・インタビューを行った原稿をインタビューイー、インタビューアーが加筆するというやりとりを経て作成しました
*所属などはインタビュー時のものです

まずは初田さんの研究フィールドとキャリアをご紹介ください。

専門は建築史、なかでも都市史を専攻しています。都市史は文系から理系にまでまたがる分野ですが、建築史の立場から都市史を研究しています。大学入学時は文系で日本史か地理を学ぼうと考えていましたが、進路変更して工学部で都市計画を学びました。卒業論文では日本もしくはアジアの盛り場に特有の建築類型と考えられる雑居ビルについて、フィールドワークと歴史研究を行いました。新宿・歌舞伎町一丁目の全てのビルを対象に平面図とテナントの業種を採集して分析するとともに、その発生過程を明らかにしようとしたものです。修士論文では東京都心部の闇市とその後の再開発過程を研究しました。とくに新橋西口の闇市と、それを東京都が再開発してできた「ニュー新橋ビル」を取り上げ、ビルの内部に闇市的な空間が再生産されていく経緯を調べました。本来は不法占拠だったはずの闇市がいつのまにか定着して存続していく過程が面白く、闇市を大都市流入者が定着する際のインキュベーターとして捉えようとしました。今から思うといずれも特徴的な都市建築から都市の歴史に迫ろうとしたものでした(ここでの都市建築とはある時代、ある都市に似た形式を以て多数現われるビルディングタイプと定義しています)。博士課程からはこのような問題関心を深めようと、建築史の研究室に入りました。研究室ではフィールド調査と実証研究を通じて、住宅や建築を個々の作品としてではなく都市を構成するものとして見る視線を学びました。博士論文では雑居ビルや闇市を作りあげてきた戦後日本の都市について、現在の都市計画・都市再開発が確立するまで過程での様々な試みや、その背景にあった大都市流入者の動向を明らかにしようとしました。その後、「都市空間の持続再生学」という都市・建築・土木の分野融合研究拠点の特任助教、建築学科の助教、プリンストン大学の客員研究員などを経て、現在の職場に着任しました。 (さらに…)

vol. 10 姉崎正治氏

 

生活学の懐の中で鉱業社会の持続性を文理融合研究として挑戦
姉崎正治氏(産業技術短期大学機械工学科・特任教授*)

インタビューアー 真鍋陸太郎(東京大学)、饗庭伸(首都大学東京)
この原稿はスカイプでインタビューを行った原稿をインタビューイー、インタビューアーが加筆するというやりとりを経て作成しました
*所属などはインタビュー時のものです

博士論文賞の受賞おめでとうございます。姉崎さんは70代で博士号を取られたという異色のキャリアをお持ちですが、まずはご自身の研究フィールドとキャリアをご紹介ください。

今年の6月で75歳になりました。生活学会の100人のVol.6の小関さんが「大人ポスドク」と自称されていましたが、私自身は「シルバー・ポスドク」と言っています。
私のキャリアは、60歳で住友金属工業での技術研究職を定年退職するまでの第1期と、その後今日までの第2期に分けられます。第2期では過去をゼロクリアーして、大阪外国語大学に入学し、大阪大学との合併を経て外国語学部でスペイン語やラテンアメリカ史分野で学部と修士課程を終え、博士課程に進学しました。以上の二つの経験が人間環境論やサスティナビリティ学として融合して大阪大学人間科学研究科での博士論文に集約されました。 (さらに…)

vol. 9 松村悠子氏

 

エネルギートランジションから島嶼研究を捉え直す
松村悠子氏(大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程 / 環境エネルギー政策研究所研究員*)

インタビューアー 真鍋陸太郎(東京大学)、饗庭伸(首都大学東京)
この原稿はスカイプでインタビューを行った原稿をインタビューイー、インタビューアーが加筆するというやりとりを経て作成しました
*所属などはインタビュー時のものです

ご自身の研究フィールドとキャリアをご紹介ください。

研究のテーマは学部の学生の時から一貫して、エネルギー問題から島嶼を考えるというテーマに取り組んできました。特に、どうやったら再生可能エネルギーの仕組みが離島に導入されていくのか、ということを日本の離島を対象として研究しています。環境社会学の分野では、環境政策の社会的受容の過程を分析する分野が注目を浴びています。技術的な知識も、社会科学的な知識も必要で、文系、理系の枠組みではない分野横断的な知識が求められる研究です。 (さらに…)

vol. 8 ゴロウィナ・クセーニヤ氏

 

住宅・モノの世界を通してみる移住者の生活学
Ksenia Golovina / ゴロウィナ・クセーニヤ 氏(東京大学グローバルコミュニケーション研究センター・特任講師*)

インタビューアー 真鍋陸太郎(東京大学)、饗庭伸(首都大学東京)
この原稿はスカイプでインタビューを行った原稿をインタビューイー、インタビューアーが加筆するというやりとりを経て作成しました
*所属などはインタビュー時のものです

クセーニヤさんの研究フィールドとキャリアをご紹介ください。

中学生の時に所属していた合唱団の公演で、一度だけ日本に来たことがあります。ソ連の崩壊後ではありましたが、今よりも日本とロシアのライフスタイルは異なっていました。まるでディズニーランドに行ったかのような印象をもち、当時はまだ子供だったのですが、興味を持ち、後に留学するきっかけとなりました。 (さらに…)

vol. 7 大橋香奈氏

 

トランスナショナルな生活世界を生きる個の理解を目指して
大橋香奈氏(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科博士課程*)

インタビューアー 真鍋陸太郎(東京大学)、饗庭伸(首都大学東京)
この原稿はスカイプでインタビューを行った原稿をインタビューイー、インタビューアーが加筆するというやりとりを経て作成しました
*所属などはインタビュー時のものです

 

大橋さんの研究フィールドをご紹介ください。

私の研究フィールドは、ジョン・アーリが第一人者として牽引してきた「移動の社会学」です。一定の境界に枠づけられた領域としての「社会」に人びとが帰属、定住することを前提とする従来の社会学とは異なり、領域を超えるさまざまな「移動」に反映された社会的なものを見る社会学です。ここでいう「移動」には「空間的な移動」も「社会的な移動」も含まれます。私自身が国内外で20回の引越しを経験したこともあり、アーリが言うところの「定住主義」的な価値観からは見過ごされてきた「移動」の意味や価値に関心を持つようになりました。 (さらに…)

vol. 6 小関孝子氏

 

新聞雑誌から時代の空気を読み取り、「コト」のこれからを考える
小関孝子氏(しにふぃあん・オーナー*)

インタビューアー 真鍋陸太郎(東京大学)、饗庭伸(首都大学東京)
この原稿はインタビューを行った原稿をインタビューイー、インタビューアーが加筆するというやりとりを経て作成しました
*所属などはインタビュー時のものです

 

Q 小関さんの研究フィールドとキャリアを紹介ください。

研究フィールドは、近現代の生活史です。新聞雑誌など当時のメディアをその時代を紐解く資料として積極的に使うというやり方で研究を進めています。解き明かしたいのは生活思想の変容なので、テーマをひとつに絞って明治から現在までをタテに串刺しするようなアプローチをしています。出来上がったものは結果的にメディア史になることもありますが、メディアそのものを研究対象にしているわけではありません。 (さらに…)

vol. 5 笠井賢紀氏

 

語りから未来を紡ぐ方法論の探究
笠井賢紀氏(龍谷大学社会学部コミュニティマネジメント学科准教授*)

インタビューアー 真鍋陸太郎(東京大学)、饗庭伸(首都大学東京)
この原稿はスカイプでインタビューを行った原稿をインタビューイー、インタビューアーが加筆するというやりとりを経て作成しました
*所属などはインタビュー時のものです

まずは笠井さんご自身の研究フィールドとキャリアをご紹介ください。

聞かれる文脈によって少し答え方を変えることもありますが、専門は質的社会調査法で特に人生の語りを中心とした調査研究の方法論を探究しています。大学では「まちづくり論」などを担当し、最近は参加型行政やコミュニティ政策系の論文を何編か書きました。 (さらに…)

vol. 4 石野由香里氏

 

「ん?」をホーリスティックに再現する「応用演劇」の可能性
石野由香里氏(俳優/演劇ワークショップ主宰 早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター助教*)

インタビューアー 真鍋陸太郎(東京大学)、饗庭伸(首都大学東京)
この原稿はスカイプでインタビューを行った原稿をインタビューイー、インタビューアーが加筆するというやりとりを経て作成しました
*所属などはインタビュー時のものです

 

まずは石野さんご自身の研究フィールドとキャリアをご紹介ください

研究フィールド(分野)は、応用演劇、人類学、社会貢献の掛け合わせという感じです。言い替えると、俳優の演技術と人類学的フィールドワーク法を社会のために活かす手法の開発と実践を研究テーマにしています。実践家と研究者のバランスは半々くらいでしょうか。 (さらに…)

vol. 3 須崎文代氏

 

台所を通じて住まいや生活の近代化を明らかにする
須崎文代氏(神奈川大学非文字資料研究センター 客員研究員、相模女子大学・文化学園大学非常勤講師*)

インタビューアー 真鍋陸太郎(東京大学)、饗庭伸(首都大学東京)
この原稿はスカイプでインタビューを行った原稿をインタビューイー、インタビューアーが加筆するというやりとりを経て作成しました
*所属などはインタビュー時のものです(現・神奈川大学工学部建築学科 特別助教 常民文化研究所 所員 非文字資料研究センター 研究員)

まずは須崎さんご自身の研究フィールドとキャリアをご紹介ください

近代住宅史、特に近代の台所史が専門で、住宅用の台所の変遷について研究しています。出身は文化女子大学造形学部生活造形学科の内田青蔵研究室で、建築史を学びました。その後、建築を単体ではなく、まちレベルの集合として捉えたいと考えまして、修士課程では千葉大学都市環境システム専攻へ進学しました。修士在学中には、国費留学で、パリ・ラヴィレット建築大学(フランス)、リスボン工科大学(ポルトガル)へ留学しました。都市やまちづくりの視点から調査研究を行うなかで、変わっていくもの、継承すべきものがあることを実感し、あらためて建築の歴史を学び直したいという意識が養われました。 (さらに…)

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