人間のいるところ、かならず生活がある

学会設立趣意書

日本生活学会設立趣意書

人間のいるところ、かならず生活がある。
人間の歴史は、生活の歴史であった。しかし、今日人間の生活は危機に直面して る。思うに生活というもののもつ、自明の日常性のゆえに、われわれは、それを対 象化し、体系的な知的探求の主題とすることは、まれであったのではなかろうか。 われわれの提唱する生活学とは、まさしく生活を客体化し、理論化しようとするこころみにほかならない。そのかぎりで、生活学は生活の研究批判の学である。しかし、同時に、われわれは生活の中で展開される人間の可能性に、かぎりなき信頼と愛情とをもちつづけたい。その意味では、生活学は生活擁護の運動とつながるであろう。生活のなかで人間を発見し、人間を通して、生活を見つめ、そのことによって、人間にとっての「生きる」ことの意味を探求すること-それが「生活学」の立場なのである。
このような趣旨により、われわれは既成の学にとらわれない新しい学問の場としての「日本生活学会」を設立するものである。

1972929日 設立

 

Charter of the Japan Society of Lifology

Where human beings are, there is always life.

Human history is the history of life. However, human life is facing a crisis. Because of the self-evident nature of what we think life is, it is rare that we make it a focus of study and a theme of systematic intellectual exploration. Our proposedLifology is nothing less than an attempt to objectivize and theorize life. As far as possible, Lifology is a critical study of life. At the same time, we want to keep holding on for as long as possible to trust and love in the human possibilities being developed in our lives. Thus, Lifology leads to a movement of advocating life. Discovering humanity in life, gazing at life through this humanity, and through this gaze, exploring the meaning of “living” as a human being – this is the standpoint of Lifology.
Based on this purpose, we establish the Japan Society of Lifology as a new academic venue for studying life that traditional research categories have not apprehended.

Established on September 29, 1972

 

会 長

今 和次郎

監 事

竹内 芳太郎

理 事

梅棹 忠夫   川添 登   吉阪 隆正   加藤 秀俊   多田 道太郎

内井 乃生   伊藤 ていじ   石山 彰   西山 夘三   今井 光映

菊竹 清訓   栄久庵 憲司   加藤 角一   宮本 常一   林 雄二郎

浅田 孝   石毛 直道   米山 俊直   本明 寛

 

シンボル・マーク、ロゴ・タイプについて

生活は、分子の世界や宇宙の世界にあるのではありません。それは地球上のある一定の領域で行なわれ、ミクロな世界、マクロな世界と関係をもちながら、全体が一つの環をつくっている、といえましょう。
また、生活学は、生理学や心理学に、あるいは社会学や政治学に解消されるものではありません。生活は、それ自身として一つの全体であり、そのなかに生理や心理、社会や政治をかかえこんでいるように、生活学は、隣接した諸学問と関連をもちながら、一つの全体をつくるものです。
日本生活学会のシンボル・マークは、こうした意味を同心円で表現し、わずかに扁平な楕円となって、有機的な生命感を表わしています。
また、日本生活学会の文字は、江戸時代の古い木活字をもとに、当用漢字になおしたもので、厚みのある生活の歴史を感じさせましょう。

これらシンボル・マークやロゴ・タイプ、さらに本誌の表紙や、スティショナリなど、グラフィック・デザインは、すべて粟津潔氏のデザインで、京都信用金庫の寄贈によるものです。
(『生活学会報』創刊号 38頁より)

 

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